雨にも素敵な理由がある

ざわ…　ざわ…
新参者ですが、「カイジ」「アカギ」など福本伸行先生の漫画がやっぱり好きです。
【過去記事】

んでもって、44歳～53歳の赤木しげるが登場する「天ｰ天和通りの快男児」を読みました。
前回の感想の続きで、今回は16～18巻の通夜編について。
※以下「アカギ」「天」を読む予定のある方にはネタバレになります！

脳を病に侵された赤木は、自分を保つために死を選ぼうとする。
「あの天才が…あれだけの人生を生きた人間がその生涯の最後に自分を保つために死ぬ…と言ってるんだ…！」
引き留めるか、送り出すか…８人の男たちが、順に赤木との最後の語らいをする。
これが「天　天和通りの快男児」の16～18巻で描かれる内容です。
ここはもう麻雀漫画じゃないんです。

泣きたいけれど、なぜか清々しい気持ち。自分のために自由に生きるってなんだろう。

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というわけで、赤木と各人の対談の中で特に印象に残った所を書いてます。
…が、駄目っ…！結局僧我編までしか書ききれなかったので、また次回（③）に続きます…。



◆和尚の金光との語らい…温かい人間とは
葬儀や安楽死の方法など、赤木の意思を尊重して事実上この自殺を手伝ったといえる金光。
「友の死に手を貸すような…こんなことをしていいのか…って」
「わしは…冷たい人間なんじゃないかって…」


「冷たい奴ってのはいつだって傍観者だ」「あんたは…温かい男さ…！」
「すまなかったな…嫌な役目だった…！」

赤木は金光の気持ちもちゃんと考えてくれてたんだなぁ…。
自分の意思を汲み取ってくれる、尊重してくれる、そう思ったからこそ金光に頼んだ。

金光は温かい男だからこそ、傍観せず、無下に引き留めず、赤木の自殺に手を貸した。
友の死を助けることが優しさになるだなんて…(´Д｀)どんなに苦しかったことだろう。


こうして一人、一人終わるごとにカウントダウンのように近づいてくる赤木の死。
誰か止めてくれ…！と、まるで胸が締め付けられるような辛さでした…。



◆銀次との語らい…死んだら意識はどうなるのか
赤木は『「生命になろう」という意思があったから、海から命が生まれた。
砂や石や水さえも、永遠という時間の中で変化し続ける生命なのではないか』と語る。


「死ぬことは…その命に戻ることだ…！」
赤木さんの死生観ってスケールでかい…！悟ってるよ…！
アカギと海には共通点を感じます。深く静かで、死さえも受け入れてしまう懐の広さ。

「…そんな話をもっとしてくれ…」
癌に侵された銀次には死への言い知れぬ恐怖があった。


「大丈夫…おっかなくなんかねえんだよ…！」
「俺が先に死んでやるっ…！綺麗に死んでやるから…！安心しろっ…！」
「俺が見てきた限りじゃあったかい人間はあったかく死んでいけるんだ」

赤木さんっ…(ノД`)なんで死ぬ前なのにこんなに頼りになるんだ…！？


あったかい人間の死を見たことがある赤木さん。一体誰の死を見たのかな…？
それは「アカギ」～「天」の間の人生に関わっているのだろうか。
その人のおかげで、あの狂気と鋭さがむき出しだった19歳時点から、天の赤木さんへと変わったのだろうか。

※銀二と銀次の漢字を間違えてた…ごめんなさい銀王様！修正しました！



◆因縁のライバル僧我…ナインで決着をつける
赤木を憎み、妬み、恨んでいた僧我が、ここで死なれてたまるか、と麻雀牌を持ち出すが…。



「俺にはもう…麻雀がよくわからんのよ…！」

は…？マジで…！？　そんな…あのアカギがっ…ショックだぁぁぁ…（泣）
リアルに落ち込んだ…いかに状況が深刻か、やっとわかりました。



わしが勝ったらおどれは生きろ！と、僧我は牌を使ったゲーム『ナイン』で挑む。
この通夜編では唯一のギャンブル。しかしこの一戦、かなり好きです。
赤木を生かそうと苦心する僧我とは裏腹に、なんの淀みもなく揃っていく牌。

麻雀ができなくたって、この人は天才なんだ…天運、そういう星の元に生まれたんだ…！
「アカギ」で何度も見せた神がかり的な勝負強さは健在。やっぱり唯一無二の異才だったんだなぁ…。
信じられない。美しいとさえ思えるその才能。芸術品のよう。



「おどれ…死んでいいわっ…！」
消えろっ…高みのまま…！
僧我の涙は、悔しさと、奇跡を目の当たりにした感動によるものだろう。



「しかし…綺麗やったな…さっきのは…！」
「まばゆいばかりの光が連なって…まるで…天の川のようやった…！」
常に赤木を目の敵にしていた僧我が初めて口にする、素直な称賛。
赤木を救いに来たはずが、逆に長年自分を苦しめてきた劣等感や嫉妬心と、綺麗に別れを告げる事が出来た…
なんだろうこの清々しさは…！



さらに僧我は、己の能力だけを頼りにしている野生動物と赤木は同じだと語る。
「在り方がシンプルで…無駄な欲がないから美しい…！」


めっちゃ納得した…！なぜ赤木がかっこいいかというと、そこ。
自分だけに頼り、自分を迷いなく信じる生き方。そこに憧れる。
僧我あんまりすきじゃなかったけど、この通夜編を見てからなんか見方が変わりました。
野生動物での例えが上手すぎる。


「人は自由に生き…自由に死んでいきたい…！」
死んではいけない、という考えに縛られなくていい。いらないって決断があってもいいんだ…
決して自殺を肯定してるのではなく、心の中が広がったような。

もっと自由に、好きなように生きていいんだ…！という解放感。
うーん、これは実際読まないと誤解されかねない。

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そしてまだ次回に続く…誰得だけど、こっそり吐き出したいんです。

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